私は20代の一時期、とても優しい美青年と付き合っていました。これで文句言ったらバチがあたるよ、と言いたくなるような恋だったのですが、実情はとても苦しいものでした。

私はいつも彼を責め、罵り、精神的にズタズタにしていました。
極限まで追い込まれた彼が涙を流すこともありました。

最終的には、
「一番好きな人なのに、こんなに傷つけてしまうのはもう嫌だ」
という理由で、私から別れを告げました。

一番多く私が口にしていたのは 

「ちゃんと今、私が話したことを聞いていましたか!?3分前まで巻き戻して、私が言った通りに復唱してみなさい!!」

というようなことでした。トータルで100回近く言ったんじゃなかろうかと思います。

一ヶ月くらい前にした会話についても、相手が忘れていたら激昂していました。

私の理屈は、
「本当に私を愛しているなら、私が発した言葉は一字一句完璧に覚えていられるはずでしょう!」
当時の私は驚異的な記憶力を持っていたため (過去3年分の映像記録が時系列で頭に入っており、自由にそれを取り出すことが出来ました)、他人にもそれを求めてしまったのです。

病気と薬のせいで脳がダメになってしまい、生まれて初めて
「ものを覚えていられない、忘れる」
ということを経験しました。

そして反省しました。
彼には悪いことをしたと思います。

自分自身が弱者になったせいで、多少他人に優しくなれたというのは、病気になって「良かった」ことのひとつかな、と思っています。